二世帯・増築
2023.08.07
「家族が増えたから増築したい」
「二世帯で暮らしたい」
このような理由から増築リフォームを検討することもあるでしょう。事前にポイントやメリット・デメリットを知っておくことで、納得のいく増築リフォームを行えるようになります。実際に増築した施工事例もご紹介していますので、ぜひご覧ください。
住宅に関連する用語として、増築と改築という言葉がよく使われますが、これらの違いについて解説します。併せて、改築と比較した増築リフォームのメリットとデメリットも把握しておきましょう。
増築の定義とは国土交通省によると、増築は次のように定義されています。
「既存建築物に建て増しをする、又は既存建築物のある敷地に新たに建築すること。既存建築物のある敷地内に別棟で建築する場合、建築物単位としては「新築」になるが、敷地単位では「増築」となる。」
つまり、増築とは同じ敷地内で既存の建物の床面積を増やす行為であると言えます。例えば、「サンルームスペースの追加」などのリフォームが増築の例として挙げられるでしょう。
増築と改築の主な違いは「建物の床面積を変えるかどうか」です。
改築は、国土交通省によって次のように定義されています。
「建築物の全部又は一部を除却した場合、又は災害等により失った場合に、これらの建築物又は建築物の部分を、従前と同様の用途・構造・規模のものに建て替えること。」
つまり、改築は、何らかの理由で建物の一部または全部を失った際に、元々の構造や広さなど、既存の建物の床面積を維持しながら建て替えるリフォームのことを指します。リフォーム内容はさまざまで、設備交換や内装の一新、間取りの変更といったものが例として挙げられます。
増築と改築の違いをまとめると、増築は新たな建物を追加することで「床面積を拡大」して、改築は「床面積を変えず」に既存の建物を再建することです。
増築リフォームのメリットは次の3つです。
●建て替えに比べてコストを抑えやすい
●建て替えに比べて工期が短く済む
●居住スペースを増やせる
増築リフォームは、建て替えのように建物の解体や撤去を行う必要がありません。そのため、コストや工期を抑えることができます。また、リフォームによって居住スペースを増やせるのも一つのメリットです。家族構成やライフスタイルの変化に対応することができます。
増築リフォームのデメリットは次の4つです。
●外観の統一性を失う可能性がある
●接合部が地震や天候の影響で破損する可能性がある
●リフォーム期間中は仮住まいに住まなければならない可能性がある
●異なる構造を組み合わせることができない(混構造不可)
古い住宅の増築リフォームでよく起こることですが、既存の住宅の外壁材を用意できず、見た目を損なう場合があります。また、既存の住宅と増築した場所の接合部は不安定なため、地震や天候の影響を受けやすいのが大きなデメリットです。
増築リフォームの対象別にポイントをご紹介していきます。
トイレ・浴室・キッチンなどの水回り設備は、生活において非常に大切です。ライフスタイルや家族の状況によって、適切な仕様や配置、広さがあるでしょう。例えば、家族の中に介護が必要な人がいれば、バリアフリーな設備が求められます。このように、それぞれに適した設備になるよう、増築リフォームの計画を立てることがポイントです。
ただし既存の排水設備に接続する場合には、勾配の関係で設置場所が制約されることがあるので、専門業者に相談してみてください。
元々あった和室をリビングにリフォームするといった場合、床のつくりや天井のつくりが異なることが多いため、これらのリフォームを行う必要性も出てきます。
和室は畳の分だけ廊下よりも高くなっているケースが多いので、段差解消するならば床組からの解体が必要な場合もあります。その分、工期や費用も増える可能性がある点を把握しておかなければなりません。
元々平屋だった家に2階、3階を増築する場合、相応に重量が増えます。重量に耐えられる強度をもっているか、増築しても耐震性に問題はないかを確認しておくことが大切です。
ただ実質的には3階の増築は不可能と言えます。構造一体になる場合は既存部分の耐震性、耐風性も強化する必要があり、構造計算を求められる場合があります。その結果、基礎補強が必要となり、建て替えと同じ扱いになってしまうためです。
また、法律上、3階建ての住宅を建ててはいけない地域もあります。増築リフォームを行う前に確認しておきましょう。
まず屋根を取り壊してバルコニーを作るのは、防水の観点から非常に困難であり、実施するには大規模な解体が必要となります。既存のバルコニーを拡張する際も、雨漏りのリスクがあるため防水には注意しなくてはなりません。
またバルコニーを新設する場合、結露の恐れがあり断熱が必要なため、アルミバルコニーを設置するのが現実的であると言えます。
いずれの場合にも多くの工程が必要にあるため、相応の費用がかかってくることに注意が必要です。
ガレージやカーポートの増築では、何台用のものを設置するかで必要なスペースと費用が大きく異なってきます。また、十分な広さと費用があっても、建ぺい率の問題によって増築できない場合もあるため注意しましょう。
地下室を増築する場合、地盤を掘る必要があります。庭の空いたスペースに作るのであれば、可能なことも多いですが、住宅の下に作る場合は地盤の状態や住宅構造が原因で施工できないことがあります。
採光、換気、防水など地下室ならではの重要ポイントがあるので、現地調査をしてもらい施工できるかどうかを確認しましょう。
富山県で実際に行われた増築リフォームの施工事例をご紹介します。
【Before】
【After】
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/case/details_378.html
快適な三世帯同居の住まいを実現するために、増築リフォームを行いました。
お施主様のお父様が作られた和室を維持しつつも、使い勝手の悪さを改善しました。畳には床暖房を設置し、快適な温かさを提供します。また、引き戸や障子などの伝統的な要素を活かしつつ、収納スペースや間仕切りの工夫を加えました。これにより、家族それぞれが自分らしい時間を過ごせる空間を実現しました。
親世帯と子世帯の交流スペースとなる1階のキッチンは、オープン型にして、料理を楽しめる環境を作りました。また、広めにとったダイニングエリアを設けることで、両世帯が一緒に食事を楽しむことができる空間となっています。
【Before】
【After】
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/s_works/21.html
浴室の老朽化と、一緒に暮らす猫が原因でリビングとダイニングのクロスの傷みがひどいため、リフォームを検討されました。
このリフォームでは、家族の生活スタイルやペットの暮らしを考慮しながら、快適で使いやすい住まいを実現しました。家事の動線や収納の使い勝手が良くなり、ペットリフォームにより猫ちゃんたちの快適な生活もサポートされました。リビングではゆったりとくつろげる空間が広がり、お風呂では癒しのひと時を過ごすことができます。
【Before】
【After】
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/s_works/47.html
一人暮らしをしていたお母様のお家をリフォームし、二世帯で暮らせるようにしたいという息子さんの想いから始まったリフォーム。築年数が60年以上経っているお家ということもあり、冬場の寒さや使いづらい間取りがご家族を悩ませていました。お子様が大きくなっても住み継いでいけるよう、耐震や断熱など見えない部分まで徹底的にこだわっています。
このリフォームでは、1階と2階の全面改修に加え、増築も行いました。その結果、元の家の歴史と伝統を残しながらも快適に暮らせる空間を実現しています。
【Before】
【After】
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/s_works/64.html
リフォームによって、部屋ごとに仕切られた実家が快適でストレスのない住まいに生まれ変わりました。広々としたLDKは、元々の和室と洋室を統合することで実現し、耐震性や断熱性も新築並みに引き上げられています。また、ウッドデッキを取り付け、庭を楽しむことができるようになりました。
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/case/details_443.html
この増築リフォームでは、お施主様のご希望に基づき、使われていない部屋の有効活用や冬場の寒さの解消、光熱費の削減、そして部屋の収納改善などを重視しました。
さらに、高断熱の樹脂サッシを使用することで、冬場の寒さ対策を行いました。これにより、エアコンだけでも十分な暖かさを確保でき、光熱費の削減にもつながります。
また、使われていなかった部屋を有効活用するために、増築しユーティリティスペースを設けました。家事作業に必要な設備や収納スペースを配置し、生活の利便性を高めました。部屋が片付き、スッキリとした空間を保つことができるようになっています。
現在では、広々とした明るく暖かい空間を有効に活用し、便利で快適な生活を送っているそうです。
【Before】
【After】
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/s_works/34.html
サステナブルリフォームと耐震リフォームを提案し、新築同様の耐震性と断熱性を備えた、安心して快適に住める住まいに生まれ変わりました。
明るい大空間のLDKはウッドデッキから光が入り、床暖房により真冬でも快適な温かさを実現しました。高い断熱性能のサッシと断熱材の採用により、夏は涼しく、冬は暖かいLDKへと変わっています。また、雨の日や夜でも蓄電池から電気を利用できるよう、蓄電池を設置しました。さらに、災害時に備えて上部には水や食料の備蓄ができる可動棚も備えています。
【Before】
【After】
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/s_works/12.html
間取り変更を含む全体的なリフォームを行った施工事例です。
元々、お住まいは広かったのですが、各部屋が仕切られていて分断されていました。そこで、食堂と和室の仕切りをなくし、大きなLDKの空間を作り上げています。
LDKを中心に水回りや収納、クローゼットを配置し、行き止まりのない回遊動線を作りました。これにより家中を自由に移動できるだけでなく、家事効率も向上しました。また、リビングはお施主様の希望もあり、一部増築して6帖の畳のスペースを作ることで、家族でくつろげる和の空間となりました。
富山県で増築リフォームをするとき、次の3つを把握しておくことが大切です。
増築リフォームの際は、工事費の他にもさまざまな費用がかかります。
その中に「建築確認申請」と「表題変更登記」があります。建築確認申請は、増築工事が法規制に適合しているかを確認する手続きです。この手続きには一定の費用がかかりますが、適切な手続きを行うことで法的な問題を回避できるため重要です。
また、増築によって建物の床面積が増えると、固定資産税の増額が生じることもあります。固定資産税は不動産の所有者が毎年支払う税金であり、増築によって資産価値が上がると税金額も増えることになります。
事前に予算を考慮し、増築リフォーム計画に反映させることが重要です。リフォーム会社との打ち合わせや相談の際に、明確な費用も確認しておきましょう。
増築リフォームが可能な条件を確認しておくことが大切です。建築基準法や地方自治体の条例によって、敷地の面積や建ぺい率、容積率などの制限がある場合があります。増築の計画にはこれらの制限を満たしているかを確認しましょう。
また、増築リフォームでは耐震性の確保も重要なポイントです。リフォーム業者の建築士や構造設計士などの専門家に相談し、安全性を確保するための対策を講じましょう。
より安心して増築リフォームを実施するには、信頼性のあるリフォーム業者を選ぶことが重要です。実績や評判、過去の施工事例などを確認して、納得のいく業者を選びましょう。
補助金や助成金、減税制度などが活用できる場合があります。地方自治体や関連機関のウェブサイトなどで情報を収集しましょう。また、複数のリフォーム業者から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較することでコストを抑えることも可能です。ただし、安易に安い業者を選ぶのは注意が必要です。品質や施工技術にもしっかりと目を向けて業者を選んでください。
増築リフォームは家族の暮らしに大きな変化をもたらすものです。慎重に計画し、専門家や信頼できるリフォーム会社と協力して、快適で理想的な住まいを実現しましょう。
増築リフォームは、対象となる場所によってポイントや注点があります。また、建築基準法など、増築に際した「ルール」も存在するため専門的な知識や技術を持ちあわせ、信頼のできる業者に依頼することが重要です。
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